マルタ共和国とアフリカ移民問題

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マルタ共和国と聞いてどんなことが思い浮びますか?

  • エメラルドグリーンの地中海とビーチ
  • 年中温暖な気候
  • マルタ騎士団の歴史
  • 世界遺産のバレッタ
  • 猫がいっぱい!!

観光局が世界に発信するマルタのイメージはとても魅力的です。確かにマルタの素晴らしさは色々ありますが、国外ではあまり知られていない深刻な問題もあります。その一つは、アフリカ人の移民問題です

リビア、ソマリア、スーダンなどをはじめとするアフリカや中東の情勢悪化に比例し、地中海を経由して亡命する人々が年々増加しています。2015年1月から現時点(2015年12月16日)において、95万人以上が地中海を越え、ヨーロッパに入国しています。

北アフリカには乗船を手配する斡旋業者がおり、手続きのために高額の費用を要求します。亡命者で多いのは子供を連れた母親や働き盛りの20代男性など、若い年代の人たちです。

船中のコンディションはずさんです。座るスペースもないぐらいに押し込まれ、事故が起きた場合の緊急避難道具も完備されていません。沈没する船もあれば水分不足が原因で死亡する子供たちもいます。地中海で溺死、もしくは行方不明になっているのは今年だけで3600人以上にのぼるそうです。

彼らが目指す国はイタリアですが、マルタ沖に流れ着いた場合はマルタのレスキュー隊が対応します。救助についてマルタとイタリアの間で議論となり、その結果対応が遅れてしまい船が沈没したケースもあります。

無事マルタに上陸した亡命者は、入国審査の期間中をマルタ南に位置するHal-Far 保護施設で過ごします。滞在期間は人それぞれで、短くて数ヶ月、長ければ数年間も滞在させられるそうです。書類審査や面接の後、運が良ければドイツやスイ スなどのヨーロッパ国やアメリカ、亡命者と見なされなかった場合はアフリカの母国へ強制送還されます。

Image by Darrin Zammit-Lupi (2007)

(上写真:Darrin Zammit-Lupi, http://islelanders.com/)

中には、マルタ滞在を希望するアフリカ人もいます。ただ、移民にとってマルタでの雇用のチャンスは少なく、アフリカ人への差別問題が根強く残っているのが現状です。仕事があっても低賃金の日雇い労働、清掃員や工事現場でのアシスタントをしている人が大半です。

マルタ人に見られるアフリカ人への差別意識は、私も実感することがあります。例えば、バスで知り合ったマルタ人から「アフリカ人が多くなって、治安が悪くなった」とか、「マルタはただでさえ小さい国なのに、アフリカ人が押し寄せてきて困る」というような差別的発言を聞くことがあります。アフリカ移民に対する認識が薄く、アフリカ移民を援助する活動も滅多に聞きません。

生死をかけてヨーロッパへ亡命するアフリカや中東の人々にとって、地中海やマルタはどんな風に見えるのでしょうか。

 

(参考文献、リンク)

http://data.unhcr.org/mediterranean/regional.php

Zammit-Lupi, Darrin “Isle Landers”(2014), 192 pages, BDL

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  1. 2018年 3月 24日

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