意外と知られていない「マルタ英語」と留学事情

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マルタ共和国へ語学留学に来られる学生さんが最近増えていますが、根強い人気がある北米やオーストラリアに比べると、未だに穴場的なスポットです。

私はマルタに住み始めてもうすぐ5年たちますが、日本から語学留学に来られる学生さんとお会いする機会が度々あります。 カナダの大学で学び、留学エージェントでアドバイザーをした経験もあるので、留学生が教えてくれる学校の様子や生活スタイルについて興味深く聞いていま す。

マルタのEU加盟によりマルタ留学の認知度は徐々に高くなっているようですが、留学体験者から実際に話を聞く機会は、北米やオーストラリアへ留学された方の場合と比べて格段に少ないのではないでしょうか。

そういったことから、今までのマルタ滞在経験と日本人留学生の話を織り交ぜて、マルタの言語事情を中心に、マルタ留学のメリット、デメリットを私なりにまとめてみようと思います。

 

  • マルタ語と英語の使用状況について

マルタ共和国の公用語はマルタ語と英語です。1964年にイギリスから独立するまでは英語、30年代まではイタリア語のみが公用語でした。現在でもテレビ番組などを通してイタリア語を自然に習得し、『エリート階級』と称されるグループは、あえてイタリア語を好んで使用するそうです。これらの言語が外出中によ く耳にするトップ3です。

マルタ人の英語の語学レベルはさまざまです。マルタ人全てが英語をネィティブ並みに話すわけではありません。政府 機関、病院などの専門機関や商業地では英語を問題なく使用できますが、その一方、イベントやフェスティバルの進行はマルタ語で行われたり、地方に行くと英 語が通じない場合もあります。商品表記がマルタ語やイタリア語だけだったりすることもあります。

マルタ人同士が好んで使う言語は圧倒的にマルタ語です。ある統計によると、人口の98.6%の第一言語はマルタ語、英語は1.2%です。英語を使用するマルタ人の割合は、家庭内で14%、仕事先では29%にとどまります。外国人には英語ですが、マルタ人同士ではマルタ語を使用する傾向にあります。

  • マルタの英語は訛っている?英語講師の英語はどう?

語学留学は、英語の環境にどれだけ浸って生活するかが上達の鍵だと思います。授業中に限らず、地元の人たちとの積極的な交流が大切な要素です。どんな『英語のシャワー』を浴びるかは、留学地の環境に左右されます。

マルタで話されている英語には特有の訛りがあります。ネイティブ並みに話す人の英語は『イギリス英語』のような発音ですが、大多数のマルタ人の話し口調は抑揚が強く、話し方はゆっくりで、使用する単語やアクセントのつけかたもかなり独特です。日本人が外来語をカタカナ変換するのと同様に、マルタ語でも英語は「マルタ語英語」に変化し、マルタ語を引きずったような発音をします。日本人がカタカナ的な発話をするのと同じ現象です。

語学学校では、マルタ人に加えてイギリスなど他の英語圏の講師も勤務していますが、話し方の違いにかなりの差がある ようです。私の知り合いの話によると、マルタ人からイギリス講師に代わったとき、イギリス英語のスピードと発音に慣れるのに苦労したそうです。英国の標準英語を学ぶには、やはりイギリス人講師からではないと難しいと思います。語学留学の目的が発音矯正ならば、迷わずイギリスの学校へ行きましょう!

もちろんカナダやオーストラリアに留学すれば、それぞれの国独特の発音やスラング、イントネーションを学ぶことになります。マルタだったらマルタ訛りがあること、それを認識しておく必要があります。英語のレベルが初級だ ろうが上級だろうが、日常会話を通して必ず影響を受けます。私も例外ではありません。

  • ヨーロッパの学生は、『遊び』目的の10代−20代が大半

マルタ留学のもう一つの大きな現状は、留学生のタイプです。ヨーロッパからの生徒の多くは、勉強よりもホリデーを主旨として滞在している傾向があります。マ ルタでは16歳以上の飲酒が法律で認められています。他のEU圏の平均は18歳。語学留学を名目にティーンエージャーが夏休みを利用してマルタに『遊び』 にくるのは、欧州では有名な話。皆さんはご存知でしたか?

語学学校のスタッフは連日のようにクラブでのイベントを企画し、クラスの生徒を引 き連れて遊びに行くのが日常なのだそうです。学校のカリキュラムとして『ウェルカムパーティ』は毎週月曜日、『フェアウェルパーティ』は金曜日にパーチャ ビル(マルタのナイトライフの中心地)で行われ、週の半ばと土曜日も学校がひいきするクラブに通うらしいのです。昼は学校、放課後はビーチで海水浴。夜は クラブでおもいっきり遊ぶ。。。

遊びも勉強もハードに楽しむぶんにはいいのでしょうか。まわりに振り回されず勉学に励む生徒さんもいらっしゃるとは思いますが。

  • それでも、マルタ留学にはこんなメリットが

もちろんマルタ留学ならではのメリットもあります。ヨーロッパ、中東、北アフリカへの旅行はし易いですし、イギリスと比較しても授業料や生活費はかなり低く抑えられます。気候も冬間を除けば温暖で、地中海は眩しいほどに青くて美しいです。ここのライフスタイルはリラックスしているので、のんびりした滞在を希望する人にはぴったりの国です。

歴史好きのかたは、マルタの歴史の深さに驚かされることでしょう。街自体が世界遺産となっている首都バ レッタには、バロック式の美しい建築物が並び、先史時代の巨石神殿群やローマ時代のモザイクなど、幅広い遺産が残っています。マルタ史を存分に満喫するに は、長期滞在をしない限り全てを見て回るのは不可能です。

私の結論としては、語学留学というよりも旅行やホリデーが目的であれば、マルタ留学はぴったりなのかもしれませんが、大学入学やビジネス英語など、高いレベルの語学習得を考えている人には、英語圏のイギリス、オーストラリア、北米等への留学をおすすめします。

みなさんはどの国へ留学してみたいですか?もしマルタ留学をされた方がお読みでしたら、ぜひ体験談をシェアしてください。

マルタ滞在に関する一般的なご質問やご相談もお気軽にお寄せください。

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