大学留学で身に付けた英語力
長く英語を学んでいると、いくら勉強しても前に進んでいないように感じたり、あるいはスランプを乗り越えたかのように、英語が突然わかりやすくなったりすることがあります。
私は英語を本格的に学び始めて15年以上が経ちますが、その過程を振り返ってみると、大学留学をしていた時が一番英語が伸びたなと感じています。私が20歳〜24歳の頃で、充実していた反面辛い時期でもありました。
どうして英語力の上達を実感できたのか自分なりに考えてみると、はやり大学留学中の学習プロセスが関係しているのではないかと思いました。そこで、今回はその過程を具体的に考え、どう効果できだったのかを5つの項目にまとめてみました。
1. ノートをとる作業
講義内容をノートにとる作業は、話の内容を理解し、自分の言葉を使って書き出す能動的なプロセスです。ただぼーっと聞いていては何も頭に入ってきません。講義中は聞き落としがないようにと本当に必死でした。
始めは意味不明な単語がどんどんでてきましたが、教授の話は容赦なく進みました。一度聞いただけでは理解できないことも多くあったので、大学1年時は自宅で聞き直すために講義を録音したこともありましたし、辞書は片時も手放せませんでした。友達からノートを借りることもしょっちゅうありました。
2. クラスメートとの共同作業とプレゼンテーション
講義スタイルの授業の他に、少人数のグループに分かれて共同研究をしたり、プレゼンテーションを行ったりします。ネイティブスピーカーの学生ばかりの中に入るので、積極的にならないとついていけません。 日本人と比べて欧米の学生はディベートをし慣れていますので、英語力はもちろんのこと、ディベートスキルも必要になります。
私は英語のハンディがあるので、誰よりも授業内容を理解しようと努めました。予習は必ずして、必要となりそうな用語は事前に調べるようにしました。始めは「自分の英語が理解してもらえないのでは」とオドオドしっぱなしでしたが、次第に「理解できない相手にも問題があるのでは」と思うほどの「図太さ」が(良いのか悪いのかは別として)身につきました。
3. 多読
日本の大学と同様に、海外の大学でもたくさんの本を読みます。 多読するプロセスによって、読む速度や理解力が向上し、必要な情報を的確に得るスキルを身につけます。大学の授業や論文の為に読む専門本の多くは難解ですが、ジャンルが絞られている分次第に慣れてきます。頻出する用語が同じだからです。
私のアパートには常に本が何冊も積み上がっている状態でした。20枚程度の論文を一本仕上げるにも、時には参考文献を15冊以上借りて読まなければなりませんでした。そういうときは精読するのでななく、スキャンしながら必要な部分だけを利用します。この作業によって、情報処理能力とスピードが格段に伸びました。
4. ロジカルにまとめて論文を書く
欧米式のアカデミックライティングは、日本の伝統的な執筆スタイルとは異なります。前置き、展開、結論がはっきりしていて、ロジカルでなければなりません。文献の引用の仕方からフォントの選び方まで確立されています。現地の学生も徹底して教え込まれることなので、このスキルを学んでこなかった留学生はもっと大変です。大学に入学する前に行ったESLクラスでは、エッセイライティングを一から教えられました。
また、留学生にとって、論文のプルーフリーディングをしてくれるネイティブスピーカーの存在がとても大切です。私も作成した論文はほぼ全てに目を通してもらいました。大学一年次は、一文一文全てにチェックが入っているくらいひどいものでした。
ライティングをすると英語力がつく上、ロジカルに物事を考えて人に伝える訓練ができます。この土台があると会話でも説得力がつき、外国人とのコミュニケーションにおいてとても貴重なスキルとなります。
5. Accountabilityー自分自身の行動に責任を持ち、期待される結果をもたらすこと
上記4までは実際の作業ですが、その根底にあるのはstudent accountabilityです。大学生のaccountabilityは「大学のルールに従ったキャンパス生活を送り、講義に積極的に参加し、良い結果をもらって卒業すること」です。
教授は留学生だからと言って特別扱いはしません。ネイティブの学生と同じように評価します。ですから、「英語がわからないので提出を延期させてください」などという泣き言が通用しません。留学生は海外にわざわざ移り住み、時には現地学生の数倍以上も高い授業料を支払って学んでいます。いいものを学んで卒業するためには、英語の壁をクリアせずにいられないのです。もちろん卒業すること自体がゴールになっては本末転倒なのですが。。。
自分を追い込む状況を作ってくれたのが大学留学です。大学生の1人としてaccountableでなければならないというプレッシャーが、結果的に私の英語を飛躍させたような気がします。
しかし、いつも大変なことばかりだったわけではありません。日本を飛び出して海外の大学で学ぶ日々はとても刺激的でした。かけがないのない仲間もたくさんできました。
この大学の授業スタイルと同様のシチュエーションを作って、普段の英語学習に取り入れることはできないでしょうか。パートIIではそんな学習法を考えます。
→ 応用編を読む
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