夏の見どころ「ビレッジフェスタ」でディープなマルタ共和国を満喫

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90%以上がカトリック教であるマルタ共和国では、宗教色が濃い多種多様な祭りが催されます。その中でも、小教区の守護聖人を称える村祭り(マルタ人は「フィースト」と呼んでいますが、以下フェスタに統一します)が国民にとって最も重要なお祭りと言えます。

フェスタは夏の6月中旬から9月に集中しています。雨の多い秋や冬の期間に開催されていたフェスタを、気候が安定している夏にシフトした村もあるため、同じ週に数カ所で開催される時もあります。

祭り好きなマルタ人は、数カ所のフェスタをはしごする場合もあるそうです。教会の広場に行くと、知り合いや親戚に会えるからです。村同士で祭りの装飾や規模などを批評しあったりして、夜遅くまでパーティを楽しみます。

基本的には、フェスタの装飾、形式、イベント内容、夜店の種類などほぼ同様です。村によってスケールや装飾の規模は異なりますが、やっていることや見学できることは、大抵どこにいっても予測できます。村それぞれの個性がもっとあればいいのに、と思いますが、それは昔と変わらないマルタの伝統や習慣を重んじる国民性があるからなのでしょうか。

そんなフェスタの特色を6つにまとめました。

1. 守護聖人の行進

各教会にはSt. Joseph, St. Catherine, St. Paulなどの守護聖人が祭られています。この守護聖人は日本のお神輿のように、司祭を始めとする聖職者と担ぎ手によって村を練歩きます。行進の時間外は教会の中で公開されており、フェスタ期間中は自由に見学することができます。

2. 教会前の広場を中心とした装飾

フェスタの大きな見所の一つが装飾です。 装飾の制作には『フェスタ実行委員会』のような有志が1年かけて行います。装飾は長年受け継がれてきたものを大切にしつつ、新しいデザインの装飾を加えているようです。フェスタが始まる数週間前から、クレーンや梯子を使って村が飾られていく様子が見られます。

フェスタを催す村は赤と黄色を基調とするバナーや旗が飾られ、さまざまな聖人の立像が立ち並び、夜を彩る豪華絢爛な電飾が雰囲気を盛り上げます。特に、フェスタの中心となる教会のイルミネーションは素晴らしく、教会内も自由に見学することができます。昼間もいいですが、フェスタはやっぱり夜に行くのが最高です。

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3. 花火

マルタ人は大の花火好きです。村専属の花火師が一年かけて準備するので、気合いの入り方が半端ではありません。フェスタ中は空に上げる打ち上げ花火と仕掛け花火が行われます。特殊なのはPetardsという爆音だけの空花火で、毎日数回定期的に打ち上げられます。

私が以前住んでいたZejtunのフェスタでは、一週間毎日花火がありました。まず、朝8時と正午に約20分程爆音だけの空花火が上げられ、その後夕方5時ぐらいから夜中まで休むことなく花火がありました。夜のカラフルな花火ならいいのですが、爆音を楽しむ(?)空花火のインパクトはすさまじいもので、家の窓を震えさせ、週末ゆっくり寝ていたくても飛び起きてしまうぐらいの音がしました。ただでさえ人口密度が高い国の至る所で花火をしているので、フェスタの花火を毛嫌いする人もかなりの数でいます。

4. ブラスバンド

マルタの各村には最低2つのブラスバンドがあり、マルタの2大政党である労働党、もしくは民主党をサポートしているのだそうです。よって、お互いをライバルとしてみており、フェスタ中は競い合うかのように音楽を奏でます。共演することは一切ありません。バンドに関与している人やそのサポーターは、青か赤のTシャツを身につけてお互いを区別しています。パレードも別ですし、時には教会の両端に設置されたステージで同時に演奏しはじめたりして、とにかく賑やかです。ブラスバンドのパレードは交互に行われていますが、一番の見所はやはりフェスタの最終日です。

5. 夜店はジャンクフード天国

フェスタの楽しみの一つはおもちゃやスイーツ、スナックなどの屋台ですが、その中でも通りを牛耳るのはジャンクフードの屋台です。どの村のフェスタに行っても大抵同じタイプの食べ物しか売っていません。代表的なのはハンバーガー、ホットドック、シシカバブ、フライドポテト、各種揚げ物、ラップ、アイスクリーム等。これらをマルタ名物KinnieやビールのCiskで胃の中に流し込みます。一般のレストランでもピッツァなどの食事を提供していて、レストラン前に設置されたテーブルや道路脇に座って食べながら、ピープル・ウオッチングを楽しみます。

6. 家族同士や旧友の集まり

日本のお盆休みのように、村祭りの期間中には家族や親戚が集まり、他村に引越した人が旧友に再会するためにフェスタを訪れます。教会の前の広場はまさしく同窓会の会場と化し、そのパーティは真夜中まで続きます。

マルタからイギリスやオーストラリア、カナダに移住した人も、その時期に合わせて帰国する人が多くいるようです。私がフェスタの写真撮影にでかけると、流暢な英語で声をかけてくる人がいます。前回はオーストラリアから帰省中の男性で、30年前にどのようないきさつで移民したのかを詳しく聞かせてくれました。長年国を離れて住んでいても、故郷のフェスタを恋しく思う気持は消えないようです。

マルタ人にとって、フェスタは国民のプライドであり、根強い祭りの文化です。みなさんにもいつかマルタのフェスタに参加して、ディープなマルタを体験していただきたいです。

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